レジストパターンの付着力のサイズ依存性を解析するために、下図にあるようなドット形状の化学増幅型レジストを用いた。測定に用いたパターンのサイズ(直径)は、141~405nmの範囲である。パターンの一部にAFMの探針を接触させて荷重を加えて、剥離に必要な荷重を求める。
下の左図には、これらのパターン付着力のサイズ依存性を示している。サイズの縮小に伴って、付着力が減少している。これは、基板とレジストパターン間の付着面積の減少が主な要因である。パターンサイズが250nmより細くなると極端に付着力が減少する。これは、探針からの荷重によって、レジストパターン内の応力分布に違いが生じたためである。すなわち、サイズが250nmより太い範囲では、倒壊時の応力はレジストと基板との界面に集中するが、それよりも細いパターンでは、界面より少し上部に応力が集中する。よって、250nmよりも細いパターンでは、容易に凝集破壊が生じて剥離荷重も低くなる。しかし、250nmよりも太いパターンでは、界面付着力は高く剥離は生じない。これらの結果は、パターン剥離後に基板上に形成される残渣の有無と対応する。
さらに、レジストパターンのサイズ依存性について検討する。試験パターンとして、上の右図のような円柱形のレジストパターンを用いる下図は、DPAT法による剥離荷重とパターン直径との相関を示している。パターンサイズの縮小に伴い、レジストパターンは剥離しやすくなる。また、この剥離性は、パターンの断面積に比例しているため、レジストパターンと基板界面での接触面積およびパターン断面の凝集力に依存している。以上のように、ナノスケールでの固体の凝集性を直接解析する手法として、DPAT法は有効である。
参考文献