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基礎技術解説リソグラフィ

塗膜ラインパターンは先端から剥離する

電子デバイス回路に用いられる微細レジストパターン形状は、設計手法の高機能化に伴って複雑である。レジストパターンの単位面積あたりの付着エネルギーは同一であっても、パターン形状の違いによって剥離挙動が異なる。よって、パターン形状に依存した応力分布に注目し付着力を解析する。

L型およびライン形状のKrFレジストパターンのAFM像
L型およびライン形状のKrFレジストパターンのAFM像
剥離荷重のパターン形状依存性
剥離荷重のパターン形状依存性

まず、上の左図は、KrFエキシマレジストパターンのAFM像を示している。これらのパターンの線幅は170nmであり、L型とラインの2種類である。ここで、AFM探針を用いて、それぞれのパターン端から位置を移動させて荷重を加える。破壊後のパターン像も示している。上の右図は、各パターンにおける荷重位置と剥離荷重の関係を示している。パターン端部では、L型パターンの方がラインパターンに比べて付着強度が高い。しかし、荷重位置がパターン端から離れるにつれて、剥離荷重は等しくなり、パターン形状の差が無くなる。これは、各パターン内に生じる応力分布の違いに起因する。すなわち、下図のように、荷重位置が同一であっても、ラインパターンよりもL字パターンの方が、レジスト/基板界面での応力集中が緩和されている。また、荷重位置がパターン端部から離れた場合、界面付近の応力値はパターン形状に依存しなくなる。よって、AFM測定と応力解析の組合せにより、レジストパターンの付着力の形状依存性が説明できる。

レジストパターン内の応力分布
レジストパターン内の応力分布

以上のように、AFMの微細探針を用いて荷重を加えるDPAT法により、微細レジストパターンの付着力解析を定量的に解析することができる。一般に、凝集性の低い高分子材料の微小固体の研究には、AFMなどの精密な制御システムが必要になる。本手法によれば、レジストパターンだけでなく、微粒子やナノ構造体の付着凝集性の解析も可能である。AFMを用いることにより、溶液中での付着挙動解析も可能となり、付着界面への溶液の浸透性の解析に有効である。

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