基礎技術解説コーティング

高分子膜の表面粗さをナノスケールで制御する

様々な機能性電子デバイス研究の基盤となるリソグラフィ技術において、微細ゲート電極作製のために、15nm幅の高精度な高分子パターン作製が必須の開発課題となっている。しかし、高分子パターン側面にはライエッジラフネス(LER)と呼ばれる5nm程度の凹凸が存在し、これがデバイス精度を低下させている。ここでは、LERの原因となるナノ高分子集合体の凝集メカニズムを明確にし、周期的な配列技術を実験的に構築する。また、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、高分子パターン内に存在する微細空孔(vacancy)の制御技術を構築し、高分子集合体の人工的な3次元構造の配列技術について述べる。

ナノサイズレジストパターン表面に形成されたナノエッジラフネス(LER)(60nm幅パターン)
ナノサイズレジストパターン表面に形成された
ナノエッジラフネス(LER)(60nm幅パターン)
15nmサイズのレジストパターン表面のナノラフネス形状
15nmサイズのレジストパターン表面の
ナノラフネス形状
微小球モデルによる高分子集合体間の相互作用解析(Derjaguin近似モデル)
微小球モデルによる高分子集合体間の
相互作用解析(Derjaguin近似モデル)

近年、高分子材料に代表されるように、ナノスケールでの高分子パターン形状の制御技術の重要性が増している。高分子材料は、化学増幅型としてのスチレン系、および汎用型のノボラック系樹脂をベースポリマーとして、超LSIやディスプレイデバイス等のリソグラフィのエッチング用加工材料として実用化されていている。しかしながら、上の左図および上の右図にあるように、高分子集合体の凝集挙動により、パターン形状全域に凹凸が生じている。これは、ラインエッジラフネス(LER)と呼ばれ、電子デバイスのゲートおよび配線パターンの加工精度の低下を招く。しかし、高分子パターンには様々な熱処理が施されるため、高分子集合体の凝集制御によって、ナノ制御システム創発への期待が高まってきている。我々は、高分子パターン内に高分子集合体の欠落したナノ空間(vacancy)が存在することを実験的に見出した。また、右図のように、微小粒子モデルとして仮定した集合体間の相互作用は、それぞれ微小球サイズの幾何平均で表せる。ここでは、15nm以下の高分子パターンのLERを低減し、電子デバイス用の高精度なパターン形状を構築できる高分子パターンの凝集構造を考察する。具体的には、樹脂中の高分子集合体のナノスケールの物理的凝集過程を微小球モデルで検討し、実験的にLER形状の発現メカニズムを解析する。そして、下の左図にように、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、高分子集合体の凝集モデル化、高分子パターンの表面硬化層、高分子パターン内のナノ空孔であるvacancyについて述べる。

AFMによるパターン側面解析方法(DPAT法)
AFMによるパターン側面解析方法(DPAT法)
レジストパターン側面の周期的なナノラフネス形状
レジストパターン側面の
周期的なナノラフネス形状

上の右図は、「微細高分子パターンを基板から剥離し倒壊させる技術(DPAT法、Direct Peeling with AFM Tip)」を用いて測定したパターン側面の凝集形状を示している。パターン側面には、LERの原因となる約25nm程度の周期的凹凸構造が明確に観察できる。この周期構造は、様々なサイズを有する高分子集合体の熱的移動に従って生じると考えられる。

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以下のような図や解説が続きます。

  • [図] ナノサイズの高分子集合体の熱処理に伴う凝集モデルおよび空孔vacancyの発生機構
  • [図] レジストパターン内の高分子集合体の凝集構造モデルの構築
  • [図] 原子間力顕微鏡(AFM)によるナノパターンのLER制御
  • [図] レジストパターン側面の20nmクラスの高分子集合体の周期的凝集構造とラフネス(LER)

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