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基礎技術解説コーティング

小さい微粒子の凝集力は下がる

AFM探針によるマニピュレーション時の応力解析
AFM探針によるマニピュレーション時の応力解析
PSL球内の応力の粒径依存性
PSL球内の応力の粒径依存性

微細サイズの材料は、製品の機能性を十分に発揮するために重要な材料である。物質が微細サイズになると、その表面特性が支配的な物性になる。固体、液体、気体においても、微細サイズ特有の性質を有する。微粒子を主原料とするトナーインクや顔料などの技術分野においては,これらの凝集性や付着挙動の解析が重要になる。また、電子デバイス製造における洗浄プロセスや微細加工プロセスでは,粒径が50nm程度の微粒子の付着力制御が重要になってきている。しかしながら、現在のところ、固体基板上に付着した粒径50nm以下の微粒子は、光散乱法を原理としたパーテイクルカウンターを用いて検出することは困難である。このような微細サイズの特性解析には、原子間力顕微鏡(AFM)の使用が有効である。AFMを用いることにより、像観察だけでなく、凝集性や相互作用力の解析が可能となる。ここでは、ナノ粒子に対して、観察および凝集性の解析技術について述べる。右の上図は、AFM探針を用いてPSL球に荷重を加えたときの応力分布と変形図を示している。探針との接触点で、PSL球に10nmの変位が生じる横方向荷重を加えた場合、A点あるいはB点の界面近傍には、それぞれ引っ張りと圧縮応力が集中する。それに伴い基板上のPSL微粒子は変形している。右の下図は、これらの点で生じるPSL球内の応力の粒径依存性を示している。すなわち、粒径が約100nm以下になると基板との界面に集中する応力が急激に増加する。さらに、下図は、PSL微粒子の細密充填表面に対してAFM探針によるスクラッチ試験結果を示している。100nmの粒径ではスクラッチラインが明確に描画されることから、粒子間の付着力が高く、PSL粒子が塑性変形している。それに対し、73nmと42nmの粒径の場合は凝集表面が大きく掘れてしまう。この場合、PSL微粒子間の付着力が低下したことを示しており、吸着力と微粒子内応力が影響したと考えられる。このように、AFMを用いることで、微粒子の凝集挙動を直接解析できる。

AFM探針によるPSL微粒子群のスクラッチング
AFM探針によるPSL微粒子群のスクラッチング

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