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微粒子の凝集はサイズに依存する

AFMによる微粒子の凝集性解析
AFMによる微粒子の凝集性解析

微粒子を主原料とするトナーインクや顔料などの分野では,これらの凝集性や付着挙動の解析が重要になる。また、太陽電池パネルやリチウムイオン電池においては、金属ナノペーストを材料とした金属配線形成技術が実用化されている。さらに、電子デバイス製造における洗浄プロセスや微細加工プロセスでは、基板上のナノ粒子の除去技術が重要になっている。このように、微粒子の実用範囲は拡大しているが、その凝集状態の物性はどのように解析できるのだろうか?

ここでは、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、微細探針と微粒子間の吸着力を測定し、さらに、微粒子凝集表面にスクラッチング試験による破壊挙動を紹介する。具体的には、粒径が42~1000nmの範囲のポリスチレンラテックス(PSL)の凝集性を、右図のようにAFMを用いて解析する。AFMのプローブ探針の先端曲率半径は8nm以下である。AFMを用いると、下図のような規則的な細密充填構造を観察できる。

各サイズのPLS微粒子の凝集表面像
各サイズのPLS微粒子の凝集表面像

微粒子間は点接触ではなく変形しており有限の接触面積を有している。この変形は微粒子間の相互作用力に基づいて生じている。JKR理論によれば、変形面の半径aは、次式で表される。

式

ここで、WAは熱力学的な接着仕事、Rは粒子半径、Kは体積弾性率を表す。また、γはPSLの表面自由エネルギーである。さらに、PSL凝集表面にAFM探針を接触させて相互作用力を測定する。下図のように、AFM探針の吸着力はPSL微粒子の半径の減少に従い減少する。一般に、2つの球の半径を、それぞれ、R1とR2とした場合、相互作用力(吸着力)は幾何平均により表される。

式

ここで、HはHamaker定数を表し、D0は球間の距離を表す。実際の吸着力データは、PSL微粒子の半径が1μm以下になると幾何平均曲線から外れている。これは、微粒子の変形によって、相互作用力の働く有効面積が拡がるためである。よって、下図の場合、PSL微粒子の有効曲率半径が30%増加した場合の補正後の幾何平均曲線にほぼ一致する。

PSL微粒子の半径とAFM探針の吸着力との関係
PSL微粒子の半径とAFM探針の吸着力との関係

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