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基礎技術解説コーティング

小さいサイズの微粒子ほど凝集を支配する

同一サイズの微粒子は容易に最密充填構造をとる。これは凝集構造における表面積が最小となり、自由エネルギーの観点から安定となるためである。また、微粒子サイズの縮小に伴い微粒子間の吸着力も低下する。では、サイズの異なる微粒子群の凝集の場合では、どうなるのであろうか?
下の左図は5μmと1μmの粒径からなる微粒子群を懸濁液中で混合し乾燥させた場合の表面観察像である。大きい粒子は規則正しく最密充填の位置に配列しているが、その周囲に小さい粒子が密に凝集している。サイズの小さい微粒子の相互作用力は低いはずであるが、どのように説明すればよいのであろうか。2個の微粒子間の吸着力は幾何平均で表せる。これを下の右図のような1つの微粒子に隣接したn個の微粒子モデルに適用すると、その合力Fは以下のように表せる。

サイズの異なる微粒子同士の凝集写真
サイズの異なる微粒子同士の凝集写真
サイズの異なる微粒子同士の凝集写真
1個の微粒子とn個の微粒子間に働く力
1個の微粒子とn個の微粒子間に働く力
1個の微粒子とn 個の微粒子間に働く合力
1個の微粒子とn 個の微粒子間に働く合力

ここでdは微粒子間距離D0とD1との比である。すると、右図のように、相互作用する粒子サイズが減少しても、隣接する粒子数が増加するために、結果的に微粒子間の合力は増大する。よって、上の左図の観察写真のような凝集形態が得られる理由が理解できる。このような凝集構造の形成には、乾燥過程において微粒子間に存在する液体が大きい役割をする。安定構造を得るように、微粒子間の液体はメニスカス力によって各微粒子を強力に引き付ける。実際の微粒子の凝集系では、サイズおよび形状も異なるため、さらに複雑となる。しかし、サイズの小さい多数の微粒子が凝集形態を支配することに変わりはない。

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