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基礎技術解説コーティング

超臨界と凍結乾燥法によるラプラス力低減

水の凍結乾燥メカニズム
水の凍結乾燥メカニズム

乾燥装置には、圧力や温度を制御し、過熱やラプラス力による塗膜の劣化を抑える方式も実用化されている。塗膜中の溶剤が蒸発する際、塗膜中に歪みが生じる。凍結乾燥方法は、溶剤の凝固点まで冷却し、その後、減圧中で溶剤を昇華させる手法である。右図のように、凝固点を迂回するように圧力と温度条件を設定する。減圧下での温度上昇により、固化した溶剤は膜外へ気体となって排出される。水溶性の塗膜の場合は、氷から直接水蒸気に昇華して乾燥が進む。よって、乾燥時には溶剤のラプラス力による塗膜の構造破壊が生じない。

凍結乾燥による食品用粉末
凍結乾燥による食品用粉末
ラプラス力による微細構造の破壊
ラプラス力による微細構造の破壊
二酸化炭素の超臨界乾燥メカニズム
二酸化炭素の超臨界乾燥メカニズム

しかし、溶剤が昇華により抜けるため、塗膜内にはポーラスな微細構造が形成される。この乾燥方法は粉体形成に有効であり、上の左図のような食品分野で多く実用化されている。また、加熱乾燥や減圧乾燥では、上の右図のように、ラプラス力により微細パターンが変形する。このように、液体メニスカスにより微細構造が破壊される。しかし、超臨界乾燥ではラプラス力の作用を無くせるため、乾燥後の塗膜や微細構造に悪影響を及ぼさない。超臨界状態とは、右図にあるように、臨界点を超えた状態であり、液体と気体の区別が無いため表面張力が働かない。このような物質を超臨界流体と呼ぶ。下の左表には、二酸化炭素とエタノールの臨界点を示している。特に、二酸化炭素の臨界点は31℃、73気圧であるため、室温程度で処理可能となり装置も小型となる。下の右図には、炭酸ガスを用いた超臨界乾燥装置の外観写真を示している。水溶性の塗膜の場合は、事前にメタノールに置換してから、炭酸ガスの雰囲気で超臨界乾燥を行う。

超臨界流体の臨界点
超臨界流体の臨界点
超臨界乾燥装置
超臨界乾燥装置

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